バイオインフォマティクス技術者認定試験について

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バイオインフォマティクス技術者認定試験とは

 バイオインフォマティシャンの試験としては、日本バイオインフォマティクス学会が主催しているバイオインフォマティクス技術者認定試験くらいしかない。ネットで得られる情報だと、ためになったとか、体型的に学べるとのことで、私も例にもれず学会が公式に出版しているバイオインフォマティクス入門を購入し、一応認定を取りました。普通ならここで、本をべた褒めしてアフェリエイトでも貼るところだと思うのですが、気になった点がいくつもあったので、問題提起の意味も含め、あえてネガティブな厳しい目線で記事を書いてみます。文字ばっかで見にくいと思いますが、一人のバイオインフォマティシャンとしての個人的な感想ですので、最後まで見ていただけると幸いです。

バイオインフォマティクス技術者認定試験の価値について

 そもそもですが、バイオインフォマティクスの技術者認定を取得してもほぼ意味がないと感じています。バイオインフォマティクスをやるために資格が必要なわけでもなければ、国家資格でもないし。
 日本バイオインフォマティクス学会ホームページに「Society 5.0においてもバイオインフォマティクスは医療・ヘルスケアITと密接 に関連する重要技術であり、産業界では,バイオインフォマティクス関連業務の 入札や雇用で当該試験の合格が要件となっていたり、社員の育成を重視する企業 に利用されています。」とあるが、当該試験の合格が要件ってなっているところなんて本当に存在しているのでしょうか。もしあるなら、この認定試験の価値を高めるためにも企業名や関連業務案件を提示してもらいたいところです。

計算科学を含めた出題範囲

 バイオインフォマティクス入門の本は全部で6章に別れており、そのうちの1つが計算科学の章になっている。もちろん知っていることで理解が深まることは間違いなのが、正直知らなくてもいい(解析におおきな支障がでない)ものが多いと感じた。例えばプログラミング言語でインタープリンタ型とコンパイラ型がある。とか通信プロトコルの話とか。スパコン使って大規模な演算をするならわかるが、少なくとも入門の本で扱う必要性を感じなかったし、出題範囲にする必要も感じなかった。生命科学の章もそうだが、これらの分野は他に歴史あるもっと適した資格があるのだから、バイオインフォマティクス技術者認定試験では解析するのに必要なところに絞ったほうがこの試験を受ける人のためになると感じた。

バイオインフォマティクス技術者認定試験を受けて実際の解析に役立ったか

 バイオインフォマティクス技術者認定試験を受けても、今のところ、解析の手法が変わるわけでもなく、新たな気づきにつながることもない。ただ、アライメントやblastのアルゴリズムを学んだことで、人に解析結果を説明するときに説得力が出るようになった点では役に立っているし、研究内容が変化した際はもしかしたら役に立つかもとは思える。

受験料について

 上記のとおり勉強する価値はもちろんあるのですが、受験料の5500円を払ってまで認定を受ける必要がないですよね。5500円が特段高いわけではないけれど、それなら専門書をもう1, 2冊買ったほうが有意義だと思いますね。

どうしたらバイオインフォマティクス技術者認定試験がより良いものになるか

 最終的には国家資格になるか、就職、転職に有利になるような知名度になる必要があると思います。そのために、級を設けることや、分野ごとの資格(エキスパートの証明)に分けるなど、この資格に価値が出る動きをしてほしいですね。
 個人的に追加(注力)してほしいのは、ワークフロー言語、Python、NCBIの使い方、各ファイルフォーマット形式について、シェルやBash、AWSなどのクラウドやスパコンとの連帯とかですかね。まぁ国家資格にでもならない限り、もう受けることはないと思いますが。

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